何を作るか迷ったら!ゲームUI志望者がボードゲームを作るべき理由
掲載日: 2026/10/15 更新日: 2026/10/07
何を作るか迷ったら!ゲームUI志望者がボードゲームを作るべき理由
「ゲームUIデザイナーを目指してポートフォリオを作っているけれど、画面デザインばかりで代わり映えがしない……」
「架空のRPGのメニュー画面を作ってみたものの、見た目はそれっぽいけれど、どこか説得力に欠ける……」
そんな悩みを抱えていませんか?
ゲームUIのポートフォリオというと、RPGのメニュー画面やインベントリ、バトルHUDなど、デジタル画面を作ることを思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん、UIのビジュアル表現を見せることは大切です。
しかし、UIデザイナーとして評価されるためには、「見た目がきれい」だけではなく、「なぜこのデザインにしたのか」を説明できることも重要です。
そこで、ポートフォリオ制作の題材としておすすめしたいのが、意外にもアナログのボードゲームです。
「ボードゲームとゲームUIに何の関係があるの?」
そう思うかもしれません。
実は、ボードゲームにはゲームUI・UXを考えるための要素がたくさん詰まっています。
今回は、ゲームUI志望者がボードゲームを作ることで得られるメリットを、3つのポイントに分けて紹介します。
STEP1:自分の「得意」を作品に落とし込みやすい

※記事内のアイキャッチ画像はChatGPTで生成
ボードゲームの大きな魅力は、ゲームのテーマやルール、コンポーネントの種類まで自由度が高いことです。
たとえば、
- ゲームのルールやロジックを考えるのが好き → タイル配置や戦略系ゲーム
- イラストを描くのが好き → キャラクターやカードを中心としたゲーム
- 世界観を作るのが好き → ファンタジーやSFをテーマにしたゲーム
- 人とのコミュニケーションが好き → ブラフ系・パーティーゲーム
- 情報整理やレイアウトが好き → カードやボードの情報設計にこだわったゲーム
というように、自分の得意分野を作品に反映できます。
さらに、既存のゲームシステムに別のテーマを組み合わせる方法もあります。
たとえば、
「大富豪 × ファンタジー」
「すごろく × 探索」
「神経衰弱 × 推理」
のように、「知っているゲームの仕組み」に自分なりのテーマやルールを加えていく方法です。
完全にゼロから新しいゲームを考えるのが難しくても、こうした組み合わせから始めれば、アイデアを形にしやすくなります。
そして、これはポートフォリオを作るうえでも大きなメリットになります。
UI作品が「架空のゲーム画面」だけだと、どうしても似たような作品になりがちです。
一方、ボードゲームなら、
「自分は何を面白いと思うのか」
「どんな世界観が好きなのか」
「どんな遊びを設計したいのか」
といった、作者自身の個性を作品に反映できます。
ポートフォリオでは、単に「きれいなデザイン」を見せるだけでなく、自分がどんなことを考えてデザインする人なのかを伝えることも重要です。
だからこそ、ボードゲームを作るときは「採用されそうな作品」を無理に作るのではなく、まずは自分が作りたいもの・遊びたいものを大切にしてみてください。
STEP2:ゲームの「UI・UX」を最初から最後まで設計できる

ボードゲームをおすすめするもう一つの理由は、ゲーム体験そのものを自分で設計できることです。
デジタルゲームのUI作品をポートフォリオにするとき、
「もし、このゲームが実際に存在したら?」
という設定で画面を制作するケースも多いと思います。
しかし、架空のゲーム画面だけでは、
「このボタンは本当に必要なのか?」
「プレイヤーはこの情報をいつ確認するのか?」
「このレイアウトで本当に迷わないのか?」
といった部分まで検証するのは難しいものです。
その点、ボードゲームなら、実際に人に遊んでもらいながらUI・UXを検証できます。
たとえば、次のようなことを考える必要があります。
ルールをどう伝えるか
初めて遊ぶ人に、ゲームのルールをどう説明するのか。
ルールブックだけで理解できるのか。
実際に遊び始めたとき、「次に何をすればいいの?」と迷わないか。
新しいゲームシステムであるほど、ルールの説明は難しくなります。
だからこそ、ルールブックやカードの説明文、アイコンなどを工夫する必要があります。
そして、ここで考えた情報設計は、そのままUIデザインにもつながります。
プレイヤーをどう誘導するか
ゲーム中、プレイヤーが次に何をすればいいのか。
どこを見ればいいのか。
どの情報が重要なのか。
これらが自然に伝わるように、カードやボードの情報を配置します。
これはデジタルゲームのUIでも同じです。
「プレイヤーが次に取るべき行動を、どうやって伝えるか?」
という問題に対して、ボードゲームでは実際のプレイを通して検証できます。
情報をどう見える化するか
例えば、
- 誰が勝っているのか
- 自分の残りリソースはいくつなのか
- あと何ターンなのか
- 現在どのフェイズなのか
- どのカードを使えるのか
といった情報があります。
これらをプレイヤーが毎回頭の中で計算しなければならないと、ゲームは遊びにくくなります。
そこで、アイコンやトークン、カウンター、配置などを使って情報を見える化します。
これはまさにUIデザインにおける情報設計です。
「手に取ったとき」まで考える
さらにボードゲームなら、デジタル画面にはない「物理的な使いやすさ」も考える必要があります。
例えば、
- カードを持った状態でも文字が読めるか
- アイコンの大きさは適切か
- トークンを置きやすいか
- ボード上の情報が見やすいか
- プレイヤー同士で情報が隠れないか
などです。
つまりボードゲームでは、「情報が伝わるか」だけでなく、「実際に使いやすいか」まで自分で設計できます。
ボードゲーム制作は、言い換えれば、
「ユーザーを迷わせないためのUI設計」を、実際の体験を通して学ぶことができる
ということです。
STEP3:採用担当者の目を引く「実践的なプロセス」をアピールできる

そして、ボードゲーム制作をポートフォリオに入れる最大のメリットの一つが、制作プロセスを具体的に見せられることです。
例えば、こんな問題が起きたとします。
「テストプレイをしてみたところ、プレイヤーが毎回、自分の持っている資源の数を数え直していた。」
そこで、
「資源の数を一目で確認できるように、ボード上にカウンターを追加した。」
さらにテストプレイをすると、
「今度はカウンターの数字が小さくて、離れた場所から確認しにくいことが分かった。」
そこで、
「数字のサイズを大きくし、色ではなく形でも区別できるように変更した。」
このように、
問題発見 → 仮説 → デザイン変更 → テストプレイ → 改善
という流れを作ることができます。
これは、ゲームUIのポートフォリオで非常に重要な「なぜこのデザインにしたのか」を説明する材料になります。
完成した画面だけを見せるのではなく、
「この問題を解決するために、このデザインにしました」
と説明できるからです。
ポートフォリオの上でのコツ!:人の手を入れた写真を撮ろう

完成したカードやボードを並べるだけでなく、実際に人が遊んでいる写真も撮影してみましょう。
「カードを手に取る」「コマを置く」「ルールブックを見る」など、人が実際に触れているシーンを入れることで、作品に「実際に遊べるもの」という説得力が生まれます。
ボードゲームの公式サイトなどを参考に、「どんな場面で、どう遊ばれるのか」が伝わる写真を意識して撮影してみてください。
ポートフォリオでは、完成品だけでなく、「それがどう使われるのか」まで見せることが大切です。
「完成品」だけではなく「制作過程」も見せよう

ボードゲームをポートフォリオに掲載する場合、完成したゲームの写真だけを載せるのは少しもったいありません。
例えば、次のような情報を一緒に掲載してみてください。
① コンセプト
「どんなゲームなのか?」
「誰に遊んでもらいたいのか?」
「何を面白さとして設計したのか?」
② ルール設計
ゲームの基本ルールや勝利条件。
なぜそのルールにしたのかも説明します。
③ 情報設計
カード、ボード、トークンなどに、どんな情報を配置したのか。
「なぜこの情報をここに置いたのか」を説明します。
④ プロトタイプ
最初に作った試作品を見せます。
紙に手書きしたものでも構いません。
むしろ、完成版との違いを見せることで、改善の過程が伝わります。
⑤ テストプレイ
実際に人に遊んでもらい、どんな問題が発生したのかを書きます。
可能であれば、プレイ中の写真も入れてみましょう。
⑥ 改善
テストプレイで見つかった問題に対して、どのようなデザイン変更を行ったのかを説明します。
⑦ 完成品
最後に完成したカードやボード、ルールブックなどを見せます。
こうすると、単なる「ボードゲーム作品」ではなく、
「ゲーム体験を設計し、検証し、改善したプロジェクト」
としてポートフォリオに掲載できます。
※ただし間延びするのはよくないので、1ページの半分くらいに特に上手く改善できたところを載せた簡潔なパターンと2ページ使ってたっぷり説明するパターンなど情報量は作品をみてくれそうな会社によって使い分けられるとよりよいです。
まとめ:UIデザインの本質は「ルールを体験に翻訳すること」

ゲームUIのデザインをしていると、
「もっとかっこいい画面にしたい」
「もっとそれっぽいゲームUIにしたい」
と、どうしてもビジュアルに意識が向きがちです。
もちろん、見た目の完成度も重要です。
しかし、ゲームUIの役割は、単に画面を装飾することではありません。
ゲームのルールや複雑な情報を、プレイヤーが理解しやすい形に翻訳すること。
そして、その情報を使って、プレイヤーが迷わずゲームを楽しめるようにすることです。
例えば、
「このフェイズでは手札が重要だから、カードの情報を大きく表示する」
「毎ターン確認する情報だから、プレイヤーの視線が集まりやすい場所に配置する」
「数字を毎回計算させるのではなく、カウンターで現在値を見えるようにする」
こうした一つひとつの判断が、UIデザインにつながっています。
ボードゲーム制作なら、こうした設計を自分自身で考え、実際に人に遊んでもらい、問題を発見して改善するところまで経験できます。
もし「ゲームUIのポートフォリオに何を載せればいいか分からない」と悩んでいるなら、まずは大規模なゲームを作る必要はありません。
小さなカードゲームでも構いません。
「どんなゲームにするか」
「どうやってルールを伝えるか」
「プレイヤーは何を見ればいいのか」
「どうすれば迷わず遊べるのか」
この4つを考えながら、一つのゲームを作ってみてください。
完成したゲームそのものだけでなく、「なぜそう設計したのか」という思考過程まで見せることができれば、あなたのポートフォリオに、これまでとは違った説得力が生まれるはずです。



