君はPALを知っているか?(3)
掲載日: 2026/04/23
ゲーム開発昔話03_PALってなんだ?
[最後にブラウン管の話をいくつか]
目次
最後に
前回の記事で動画が動いて見える仕組みと、動画を映し出すテレビの発明の過程やNTSCやPAL と言う
テレビ規格が現れるまでの歴史について触れてきたが、最後にテレビ登場時から2000年代までの期間
映像の表示デバイスの主役として活躍してきたブラウン管の話をして終わりにしたいと思う。
当時は画像表示デバイスの主流であったブラウン管も今となっては見かけることはほぼなくなり、
ブラウン管を使ったテレビやモニタを見たことが無いと言う人も少なくないのでは無いだろうか、
日本国内でブラウン管がの生産や流通が無くなったのは、2026年現在からさかのぼって
地上波デジタル放送が始まった 15年ほど前の 2011年ごろから、それ以前からも液晶やプラズマなどの
フラットディスプレイの普及が進んでおり、ブラウン管テレビから撤退していた国内の家電メーカーも
現れていた。 テレビ今昔物語
(ちなみには東芝は2021年頃まで深谷事業所で工場特殊用途のブラウン管の製造を行っていたのだが
現在、商業的にテレビ目的にブラウン管を作っているメーカーは存在しない)
今回は、多くの人が今後の人生でほぼ接する事はないであろうブラウン管の仕組みや生い立ちについて
振り返ってみたいと思う。
ブラウン管とは
そもそもブラウン管と言う名前の由来は、発明者のフェルディナント・ブラウン に因んでいる。
とは言う物の、日常的にブラウン管と言う呼び方をしていたのはドイツや日本ぐらいで
他の国では一般的に陰極線管(Cathode-Ray Tube)CRTとよばれていた。
それでは陰極線とは何だろうか? 簡単に説明するなら真空内の電極の間でー電極側(カソード)
から+電極側(アノード)に飛ぶ電子の流れの事、ー電極側から +電極側に発射されるので陰極線と
呼ばれている。
ブラウン管はこの陰極線を利用して画像を表示するデバイスであり、陰極側(電子銃と呼ばれている)から
発射された電子を反対側のガラス面に塗布した蛍光物質に当てて、そこから発生する発光を利用して画像を
表示する仕組みだ。
模式図で表すとこんな感じ

ここでポイントなのはブラウン管の中は真空でなければならいという事
これは空気(大気)が電気を通さない絶縁体であるのが原因だ。[放電]
真空では無い状態ではカソードから発生した電子は空気の分子にぶつかり数ミリセンチも移動出来ない。
では絶縁体である空気が無かったら?
そんな研究の端緒を作ったのがかの有名なファラデーであり、彼の放電実験が
ブラウン管の生い立ちの原点ともいえる。(ブラウン管は放電管の一種)
と言うわけで次は、ファラデーの放電実験からブラウン管誕生につながる放電管の進化ツリーを見てみよう。
放電管の進化ツリー
1791/9/22 ~ 1867/8/25


[Johann Heinrich Wilhelm Geißler]
1814/5/26 ~ 1879/1/24


ガイスラー管 _ 1857
1832/6/17 ~ 1919/4/4


クルックス管 _ 1869
1850/6/6 ~ 1918/4/20

ブラウン管 _ 1897
[動画] CRT Oscilloscopes of 1934
歴史の終わり
ブラウン管が開発された当初はオシロスコープの表示器として使用されていたが、やがてテレビの表示器に
広く使用されていく事になる。(この事は前回のテレビジョン開発史で触れさせてもらっている)
ブラウン管はテレビ誕生から100年、映像表示の主役としてテレビと共に大型化、高解像度化や
カラー表示の獲得など大いに発達してきたが、液晶やプラズマディスプレイの登場によりその歴史も
終わりの時を迎える事になる。
ブラウン管には液晶やプラズマの様なフラットディスプレイに比べて覆すことが出来ない
以下のような弱点があった
・重さ
ブラウン管は大きなガラス瓶のような物であり、20インチを超えるような大きさになると
20Kgを超える重量となる、さらに大型の物をとなると扱いにも困る代物だ。
場合によってはPCを乗せた机の天板が曲がってしまう事も有ったり無かったり
・発熱と消費電力
回路や制御の改良により電力消費量の改善などは行われてきたが半導体を使用している
液晶ディスプレイには敵わない、ブラウン管が100w以上の電力消費を行うの対して
液晶では50w以下、半分の電力で動いてしまうので勝負にならない。
(プラズマディスプレイの方はどうかって?… うーんダメっぽいですね…)
当然 発熱も大きい、冬でも暖房要らずだ。
・精度と磁気の影響
個人的にはこれが一番悩ましい問題だった
ブラウン管は電場により画面の描画を制御しているが、当然 地磁気にも影響を受ける
大画面、高解像度になるほどその影響を受けやすく画面の垂直・水平が地磁気により歪んでしまう。
歪みを少なくするためにモニタの設置位置や方角を変えたり無駄な努力をしたが
やはり地球の磁力には逆らえなかった。
液晶やプラズマディスプレイは回路を焼くときにカッチリ垂直・水平が出てるので
そのような歪みとは無縁だ。
大型化と高解像度化を進めれば進めるほどブラウン管はフラットディスプレイには太刀打ち出来なくなってくる
液晶ディスプレイが出てきた初期の頃は発色や視野角があまり良くなかったのでブラウン管を愛用している
人間(特にデザイナー)は結構いたのだが、より高性能な液晶が開発されるにつれそのような人達もいなくなり
ブラウン管の映像表示器としての時代も幕を閉じてしまった。
今となってはブラウン管はレトロチックな雰囲気を出すためのガジェットとなってしまったという訳だ。
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